家康が太閤秀吉と面会したとき、秀吉が「私が所持している道具には、粟田口吉光の名刀をはじめとして、天下の宝というものはすべて集まっている」と指折り数え立てて、「さて、そなたが所持している道具で秘蔵の宝物とは何であろう」とたずねられた。
家康は「私にはそのような品はありません。とはいうものの私のところには、私のことをこの上もなく大切に思ってくれていて、火の中水の中へと飛び込み、命を塵芥(ちりあくた)とも思わない武士たちが五百騎います。この五百騎を引き連れてさえいれば、日本六十余州のどこへ行こうと恐ろしい敵はいません。それ故、私はこの武士たちを至極の宝物と考え、いつも大切に扱っています」と答えた。
太閤秀吉は赤面して、返す言葉もなかったという。