北条丹後(=丹後守、高広もしくは子の景広)の旗指物
北条丹後は一尺(=約三十センチ)四方の白地の絹に黒い蟻の絵を描いて、指物にしていた。
上杉謙信はこれを見て、「そなたの指物はあまりに小さいが、それにはどういう事情があるのだ」と訊ねた。
北条丹後は「たしかに味方からは(小さくて)見えにくいでしょう。だけど進軍するときは先駆けし、退却するときはいつも殿(しんがり)を務めていますので、敵からは、他の人の大きな指物も私の小四半(四半=方形に切った布、幟旗のこと)も同じ大きさに見えるだろうと思います」と答えたので、上杉謙信は「それも道理である」と言ったそうだ。