〜戦国武将エピソード集〜

輝虎(=上杉謙信)が太田資正(すけまさ)の子を人質にとったこと

 上杉と北条は互いに、武蔵の忍(おし=現在の埼玉県行田市)で陣を構えた。

 この時、太田美濃守資房(すけふさ)入道(にゅうどう)三楽(さんらく)が、ひそかに北条方に内通していた。

 これを聞いて輝虎は馬副(=主君の乗馬に付き添う従者)の者も連れずに、単身ただ一騎で、三楽の陣に突入して、三楽の三男で十二歳の阿房守(あわのかみ)をしっかりと捕まえて、「よく育ったものだ。どれ、我が子にしよう」と連れて帰った。三楽の兵士たちは輝虎の猛威におそれて、手出しをすることもなかったということだ。

 これ以降、三楽は輝虎に心から付き従ったという。

目次

常山紀談、017