馬場美濃守が今川の館を焼く事
武田信玄が駿河(=静岡県中央部)に攻め入った時、朝比奈(あさひな)兵衛をはじめとして戦おうとする者がおらず、今川氏真は落ち延びていった。
そこで武田信玄は「急いで今川の館に駆け行って、すぐれた宝物などを奪い取って来い」と命じた。
馬場美濃(=岐阜県南部)守氏房(信玄の家臣で、美濃守なら馬場信春)はその命令を聞くやいなや、ただ一騎にて鞭を鐙(あぶみ)にあて、館に駆け入り、火をかけて焼き払った。
これは宝物などを奪って、大義のない掠奪目的のいくさだとあざけられることを憂慮しての行動だろう。