〜戦国武将エピソード集〜

姉川の戦い

 姉川の戦いで、織田信長は龍(たつ)が鼻(はな)山を左にして浅井長政に向かっていった。徳川家康は龍が鼻山を右にして朝倉軍二万あまりに攻撃を開始した。

 小笠原与八郎氏助(うじすけ)が二千ばかりの兵で先陣を走り川を渡る。

 小笠原氏助の兵、伏木(ふせぎ)久内、中山是非之助、吉原又兵衛、林平六、伊達与兵衛、門奈左近右衛門、渡辺金太夫照(てらす)の七人が敵と槍を付き合わせた。

 その中でも渡辺金太夫照は、朱の傘に金の短冊を十八つけた指物(=当世具足の背の受筒にさし、戦場での目標とした小旗または飾り)を指して堤の上を進んだ。

 その姿を信長が見ていた。そしてその夜に渡辺金太夫照を呼び出して「天下の槍だ」という感状(=戦功などを賞して主君や上官から与えられる文書)に貞宗(さだむね)の刀を添えて与えた。

 すると残る六人の者たちが怒って、「我々は、さらに進んで敵と槍を合わせたのだが、畑の中だったので、目にとまらなかったのです」と言ったので、信長はその六人全員にも感状を与えた。

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常山紀談、069